中国留学情報

日本語学科の有無

2週間前にこんなことを書きました。

「文法を学ぶために留学するのではない」
「留学する価値は聴力、会話力の養成にある」

では具体的に、
どうやって聴力、会話力を伸ばすのか?

次のように思ってらっしゃる方が非常に多いです。

「聴力は聴力の授業で鍛える」
「会話力は会話の授業で伸ばす」

ハズレです。
中国語を舐めてます!
聴力や会話力って、それで伸びるほど甘くありません。

なぜか?
数字で考えるとすぐに分かります。


前回のメルマガでちょっと触れましたが、
聴力や会話力の授業って、1週間に4~6コマです。
仮に6コマとしましょう。

1学期の留学期間は平均18週間ですが、
中間テストとか行事もあるので、
実際に授業が行われるのは15週間くらいです。
1週間に6コマの授業が15週間あります。

ということは、聴力と会話力の授業は、
6コマ×15週=90コマ
1学期にそれぞれ90コマずつです。

普通1コマは50分ですので、

50分×90コマ=4500分
4500分÷60分=75時間

つまり、1学期の留学で聴力と会話の授業は、
それぞれ75時間ってことです。

みなさん、ちょっと考えてみてくださいよ。
75時間ですよ。

1日10時間、延々と中国語で会話をして、
1週間したら話せるようになる。

1日10時間、延々と中国語を聞いて、
1週間したら全部聞き取れるようになる。

あり得ないでしょ。笑

聴力や会話力の授業に出ているだけでは、
ぜんぜん足りないんです。


では、どうするか?

一つは、2週間前に説明しました。

「授業科目に関係なく、聞くこと、話すことに専念する」

文法の授業であろうと、
作文の授業であろうと、
授業中は聞き、聞き返し、
話し、話し返すことを第一とする。

これは絶対条件です。
科目の名前は一切無視して、
聴力、会話力に専念する。

文法の授業で文法を学ぶのではない。
作文の授業で作文の練習をするのではない。
何の授業だろうと、やるのは聴力と会話力。
それを可能とするために、
文法の勉強は日本で終わらせておく。

必ず実行して下さい。

ところがです。
授業は午前中だけなんです。
基本的に午後は授業はありません。

午前中の授業が終わって、
お昼ごはんを食べて、
はてさて、午後は何をしようか?

ここでぜひ活用して欲しいのが、
「互相学習」です。

互相学習とは、
中国語を学ぶ日本人と、
日本語を学ぶ中国人が、
互いの言語で会話練習をすることです。

例えば、
最初の1時間は日本語だけで会話して、
次の1時間は中国語だけで会話する。
そんなイメージです。

ネイティブを独り占めして、
聴力練習、会話練習。
日本ではなかなか得られない環境です。

ですので、中国に留学している間、
この互相学習は毎日やるべきです。

「週に何回」ではありません。
「毎日」です。

中国に留学して、
「週に2回も互相をしたよ!」
とか自慢げに言ってる人がいます。

アホかと思います。
冗談じゃなく、ホントに。

本人はよくやったつもりでいるのですが、
はっきり言って意識レベルが低すぎます。

互相は週に何回ではなく毎日です。
それも、午後に1人の人と2時間やって、
それで満足してたらダメです。
2時間やったあと、今度は別の人と2時間。
そこまでやってください。

そこまでやってようやく身に付く。
聴力、会話力ってそれくらい大変なものなんです。


そうなると、互相学習の相手、1人では足りませんよね。
相手にだって都合がありますし、
毎日同じ相手だとネタも尽きてきますし。笑

やっぱり最低でも10人は確保したほうが良い。

そこで必要になってくる条件が、
「日本語学科の有無」です。
留学する大学に外国語学部日本語学科があること。

日本語学科があると、
日本語を勉強している中国人学生、
つまり、互相学習の相手を探しやすくなります。

日本語学科がないと、
第二外国語や独学で日本語を勉強している学生を探すなど、
相手確保で苦労しますからね。


では、日本語学科はどんな大学にあるのか?
日本人の感覚で言えば外国語大学ですよね。

ところが、
実は中国の大学の約半分には日本語学科があるんです。

中国の大学は医科大学など極少数を除き、
そのほとんどが総合大学です。
名前は林業大学や工業大学になってても、
実態は総合大学です。

そして、多くの総合大学に外国語学部があり、
その約半数に日本語学科があるんです。

では、日本語学科があればどの大学でもOK?
そうではありません。

注意してほしいポイントが2つあります。


●日本語学科が同じキャンパスにあるか?

これ、重要ポイントです。

中国の大学はここ数年の学生増で、
郊外に新キャンパスを作るところが増えています。
市内の旧キャンパスと郊外の新キャンパス。
2つのキャンパスを持つ大学が多いんです。

そして、
留学生は生活に便利な市内の旧キャンパス、
中国人学生は郊外の新キャンパス。
そんなふうに分離しちゃってる大学が少なくありません。

こういう大学に留学してしまうと、
大学に日本語学科はあるんだけど、
キャンパスが離れているので交流しにくい。

そういう困った事態になります。


●日本人が多すぎないか?

日本語学科にはどれくらいの学生がいるか?
だいたいどこの大学でも、1学年1~2クラスです。
1クラスは30人前後。
1学年で30~60人ですね。
それが4学年だから120~240人。

これだけ聞くと、
互相相手の確保って楽勝だと思うでしょ。
ところが、そうはいかないんですよ。

まず、4年生はインターンシップに行ってます。
大学にいないことが多い。

3年生はというと、大学にはいます。
ですが、3年生にもなると一通り話せます。
日本語検定1級合格者もいるくらいです。

相手のレベルが高すぎるので、
気がついたらずっと日本語での会話になっていた。
そういうことがよくあります。

じゃぁ1年生はどうかというと、
これはまた勉強し始めたばっかり過ぎて、
会話がまったく成り立たなかったりする。

互相相手としてベストなのは、2年生なんです。
4学年トータルでは120~240人いますが、
ベストの2年生は30~60人しかいない。

なおかつ、
みんながみんな互相に積極的なわけではない。
互相をまったくやろうとしない学生も少なからずいます。

そんなところにですよ、
日本人留学生が何十人もいたらどうなります?
互相相手10人確保なんて無理ですよね。

日本語学科があるだけではダメ。
同じキャンパス内にあるだけでも不十分。
日本人留学生の数もチェックが必要です。

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【今週のまとめ】
1) 互相学習は毎日して当然
2) 日本語学科があると互相相手を確保しやすい
3) 同じキャンパスに日本語学科があるか?
4) 日本人が多すぎないか?
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